2006年ベストライトノベル
[イチ押し新人賞]
・「学校の階段」シリーズ
今年の隠れた新人賞候補。なんと映画化も決定したらしい。
超常要素の無いストレートな学園青春物で、読んでいて爽快感のある作品。
[イチ押し単行本賞]
・「図書館戦争」シリーズ
ハードカバーとして一般文芸の読者も対象にしつつ、破天荒な設定がライトノベルらしさも併せ持っている。
「もし図書館が軍隊だったら」という物語はこの作者にしか書けないだろう。
それでいて、登場人物の恋愛物語としても充分に面白い。
[ケレン味たっぷりで賞]
・「古橋秀之版デモンベイン」シリーズ
多分に同人誌的な作品。魅力的な素材を、腕に憶えのある作家に料理させた成果がこの作品。
原作の雰囲気を壊さずに、新たな世界観を広げる手腕は見事の一語に尽きる。
[会話の妙で賞]
・「化物語」<上下巻>
最近ますます勢いを増す西尾維新が「会話の妙」に特化した伝奇小説。
とにかく人物の会話が魅力的で、一気に最後まで読ませる力がある。
価格がやや高めだが、質に関しては太鼓判を押せる。
[完結おつかれさま賞]
・「空の鐘の響く惑星で」シリーズ(全12巻)
〜(中略)〜
近年は減少傾向のファンタジーというジャンルながら見事完結に至った作品。
国と国の駆け引きと登場人物たちの活躍がバランスよく描かれている。
ダブルヒロインと主人公の恋の行方も見事に決着した。
[個人的に期待で賞]
・「二四〇九階の彼女」
セカイ系の詰め合わせとでもいうべき短編集。
いわゆる「セカイ系」を意識しつつも物語の構造が工夫されていて単調な印象は無い。
シリーズとして続くようなので一味違った結末を見せてくれることに期待したい。
・「天使のレシピ」シリーズ
- 作者: 御伽枕,松竜
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シリーズを通して語られる天使の物語はやや物足りないものがあるが、
描かれる高校生達の物語は瑞々しさに溢れている。
[キャラが魅力で賞]
・「狼と香辛料」シリーズ
なんといってもホロというキャラの魅力に尽きる。
中世の西欧という舞台とホロが使う廓言葉(遊郭の女言葉)のミスマッチがポイントか。
中世の生活や経済という物語の下地も全体の評価には一役買っている。
・「鋼殻のレギオス」シリーズ
主人公の挫折と成長の物語がメインではあるものの、彼の周囲にいる女性キャラの人気も高い。
ラジオドラマ化も行われ、富士見ファンタジアの新たな主力となることが期待できる。
個人的には主人公の先輩「フェリ・ロス」のツンデレっぷりが素晴らしい。
・「とらドラ!」シリーズ
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ただのドタバタラブコメと思うと大間違い。
登場人物たちにはどこかしらトラウマめいたものを持っている。
だからこそバカ騒ぎしている姿を感慨深く眺めることが出来る。
そういう上質のラブコメ作品である。