平和の温故知新@はてな

ライトノベル関連のニュース、感想、考察などを書いていました。管理人まさかの転職により2013/04/06を持って更新停止。……のはずが、たまに更新されることも。

様々な作風が集まった「電撃大賞入賞作」4作品雑感

一行まとめ

大賞「いろんな意味で『オンライン小説』」
金賞「『すこしふしぎ』で『すこし切ない』」
銀賞1「ロリコンスポコンスパッツもの」 
銀賞2「複数同時受賞作家の都会派群像劇」 

各作品感想(読了順)

パララバ―Parallel lovers (電撃文庫)

パララバ―Parallel lovers (電撃文庫)

金賞受賞作。帯の推薦コメントは高畑京一郎氏。
あとがきでも言及されているのですが、作者自身が高畑京一郎氏の作品「タイムリープ」のファンだった模様。
なるほど言われてみると、作風に影響を受けているように思います。
不思議な体験をすることになった女の子の物語でした。
キャッチコピーを読むとやや非日常の要素が強いようにもとれましたが、
実際は「すこしふしぎ」な要素を1点だけ使って勝負した作品。
基本的にヒロインの一人称で進むんですが、地の文から読める内面描写が面白かったです。
タイムリープ」は電撃の作品でも上位に入るお気に入り作品なので、
この作品が気に入ったらぜひ手を伸ばしてほしいですね。

アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)

アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)

大賞受賞作。帯の推薦コメントは川上稔氏。
なんと川上氏、解説という名の短編&イラストを寄稿しています
これは本編を読んだあとだとかなりニヤリとできます。
もともとはネットで公開していたオンラインノベルのようです。
そのときの題名は「超絶加速バーストリンカー」だったそうな。
知人にネット版の読者がいて、そういえば年末頃にオススメされていたのでした。確かに面白かったです。
うえお久光氏の「シフト」が好きな方にも合うかも。


本編のほうはゲーム小説に分類していいのかな・・・
ボーイミーツガールと仮想空間バトルは相性いいですな。
ファミ通文庫の「ボーイミーツガール オン ライン」改め「千の剣の舞う空に」などと合わせてオススメ。
続きが出しやすく、かつおもしろくなりそうなので楽しみです。
ちなみに次回作は既に告知済みで4月刊行。題名は「ソードアートオンライン」となっており、これもネットで公開(連載?)しているものを書籍化ということのようです。

ロウきゅーぶ! (電撃文庫)

ロウきゅーぶ! (電撃文庫)

銀賞その1であり今年の「キワモノっぽく見えるけど実は王道」枠担当作品。
帯の推薦コメントは時雨沢恵一氏。
時雨沢氏のコメントもなかなか洒落が効いていて良いですが、
おそらく編集さんが考えたであろう、表紙の宣伝文句が酷いです。
「少女はスポコン!コーチはロリコン!?」って、凄すぎです。
内容を要約すると
「小学生の女子バスケチームを試合に勝たせるべく奮闘する話」
という感じ。
スポーツ(この作品の場合はバスケ)への愛情が根っこにある、真っ当なスポコン小説でした。
作中にそれほどあざといロリコンネタはなかったので、パッケージングで最大限にインパクトを出した作品ですね。
あ、そうそう。250Pのイラストはやりすぎだと思うんですよ・・・

銀賞その2で帯の推薦コメントはアスミック・エース エンタテインメント社長の豊島氏。
「映像を想起させる」との評には納得。
・・・いやしかし、この作風ならぜひ成田良悟氏の推薦コメントを読んでみたかった・・・!
真月譚月姫 1 (電撃コミックス)」の佐々木少年氏がイラストということもあってか、
基本的に挿絵にはフキダシ&セリフつきです。これも面白いですね。


都会に暮らす奇妙な金貸しと様々な「バケモノ」の物語。
群像劇に分類される内容で、それぞれの登場人物がどんなバケモノに喩えられているかがわかるとニヤリとできます。
全体的に登場人物の年齢高めな「デュラララ!!」といったイメージでしょうか。
ただし1点だけ苦言を。最後のエピソードがちょっと蛇足だったように感じました。

個人的なオススメと全体感想

正統派の面白さの「アクセル・ワールド」と、変化球の「ロウきゅーぶ」がオススメです。
バランスよく違った作風のものを揃えてくるあたり、電撃文庫らしいなぁ・・・と感じました。
今年の募集では「メディアワークス文庫賞」なるものも創設されており、早くも来年が楽しみです。
以上、駆け足ながら今年の新人4作品の感想でした。