平和の温故知新@はてな

ライトノベル関連のニュース、感想、考察などを書いていました。管理人まさかの転職により2013/04/06を持って更新停止。……のはずが、たまに更新されることも。

「ラノベ好き書店員大賞」の紹介と投票企画について思うことあれこれ

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ラノベ好き書店員大賞 公式サイト


ラノベ好き書店員大賞 を募集します! 虎とラッパ

応募締め切りの3月31日も近いし、そろそろ記事書かなきゃなぁ、と思っていたら本当に直前になってしまいました(汗
基本方針を以下引用。

全国の書店員さんから「1年間のうちに発売された新作」のうち最大3作まで選んでもらい順位をつけよう。そしてあわよくば全国の書店で展開して販売していこう。という趣旨です。

要するに本屋大賞ラノベ版ですね。
あっちと違い作品ノミネート方式ではなく、最大3作品までの「2011年にスタートした新作」が対象。
応募資格は雇用形態問わず「書店に勤めている方」とのこと。

賞の意味合いについて

この企画、過去にライトノベルサイト杯なんてものもやったことがある身としては、
やはり色々と考えてしまうものがあります。
最近ではラノベニュースオンラインさんの「みんなで選ぶベストライトノベル2011」の結果で1位だった
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」の4巻帯に、結果が掲載されるということもありました。


基本的にランキング企画・投票企画などは「結果をきっかけにして作品を手に取る機会を作ることができる」という効果があり、
この点においては各種企画ともに意義があります。
「刊行点数が多くて読みたい本が見つからない!」みたいな要望への回答にもなりますね。


あとはレギュレーションによる性格付けになってきて
ラノベに詳しい書店員が選ぶ」や、
ライトノベルのサイトをやってる人が選ぶ」とかが企画の方向性を決めていくことになります。
特に制限をかけずに母集団を広く取ると「既に広く読まれているもの」の名前が挙がる度合いが高まり、
狭く取るとまだ知られていない作品や尖っていて評価が分かれる作品なども目立つように。


この「メジャー〜マイナー」のどのあたりの結果を期待して企画を実施するのかというのは、
特にレギュレーション策定の際に意識しておく必要があるのかな、と個人的には思っています。
ラノサイ杯は概ねマイナー寄り結果が出るような調整で、だいたいアニメ化してなくても話題になる作品を拾えていた印象でした。
逆に、単純に人気作品を知りたいだけなら売上系のランキングを見ればいい、という話でもありますね。


今回の「ラノベ好き書店員大賞」に関して言えば、
書店員が選ぶことで「自分たちが売りたい作品」がピックアップされるはずで、
「今より更に売り伸ばす余地のあると考えられた作品」が中心になった結果が出てくるのでは、と思われます。
新作に限るということもあり、アニメ化済み作品ほどには知名度が高くない作品が並ぶことになるはず。
書店員さん的には棚に余裕があれば一つのコーナーを作ったりすることができますね。

ゆくゆく出てくるかもしれない課題

とはいえ、この手の企画につきものの課題もあります。
それは「開催規模が変わり、賞そのものの意味合いが変わっていくこと」です。
本家の本屋大賞についても、今年こんな記事がありました。
「本屋大賞」選考方法に変化 : ニュース : 本よみうり堂 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


2段階の選考に伴う応募条件の変更が入り、より厳密に全てのノミネート作品を読んだ上で投票する形になっています。
近年は既に売れている作品(=よく読まれている作品)が大賞を受賞することも多く、
この規定変更はそこら辺に対する回答の一つと言えるのかも。
ラノベ好き書店員大賞はまだ始まったばかりですが、回数を重ねて規模が大きくなった場合は、
このあたりについても考えていく必要が出てくることが予想されます。

文学賞」はいらないけど「本屋大賞」はあってもいい?

2年ほど前にこんな議論がありました。

Togetter - 「「ライトノベルの新人賞以外の文学賞」に関する議論」


Twitterのお約束で話題の筋がズレたりしてたところもありますが、
様々な立場の方がそれぞれの考えを述べています。
基本的に「文学賞のような権威付け」はいらないと考えている方が多く、
本屋大賞」的なものに対してはあってもいいと考える方もおられる模様。


ここら辺ののさじ加減は難しいところではありますが、
基本的には作品選びの助けになる企画が増えるといいなぁ、という風に思う次第です。


なにはともあれ、「ラノベ好き書店員大賞」の結果に期待しています。
書店員の方はぜひ応募を検討してみては、というところでひとまず〆