平和の温故知新@はてな

ライトノベル関連のニュース、感想、考察などを書いていました。管理人まさかの転職により2013/04/06を持って更新停止。……のはずが、たまに更新されることも。

見出しは酷いが中身は堅実だった「ダヴィンチ4月号ライトノベル特集」感想 その2

ダヴィンチ 2008/04月号

ダヴィンチ 2008/04月号

特集内容については以下の通り。
http://web-davinci.jp/contents/guide/contents/200804.html

<特集1>ライトノベルは終わったのか?
ラノベのピークはもう過ぎたってホント?
越境するラノベ出身作家たち 次に直木賞を受賞するのは誰だ?
ラノベの中で書き続けるという選択
ラノベ人気の本当の理由
ラノベファン対抗「心に響くこの1冊」選手権
ラノベレーベル編集長に訊く「次の一手ライトノベルは終わらない!

感想その1はコチラ
以下、前回からの続きです。

ラノベ人気の本当の理由

ライトノベルの歴史を軸に、周辺ジャンルの出来事を配置した年表を掲載。
ソノラマ時代を「プロトライトノベルと呼称。
「ARIEL」から「スレイヤーズ!」以前を「初期ライトノベル
スレイヤーズ!」以後から電撃文庫創刊までを富士見書房全盛期」として、
その後集英社SD文庫徳間デュアル文庫富士見ミステリー文庫などが創刊された2000年までを電撃文庫の台頭」と銘うっています。
2000年以降はあまり明確な区分けをせず「萌え系ブーム」「非ラノベへの展開」と大きめに括っていますね。
隅っこに「参考:ライトノベル「超」入門 [ソフトバンク新書]」とあって、やっぱりこの本は資料的価値高いなぁ、とも思ったり。


14日追記
この年表のサイバーパンクに関する項目などについて「看過できない虚偽の内容であった」と指摘する意見もあることを添えておきます。

ラノベファン対抗「心に響くこの1冊」選手権

おそらく今回最も変な企画。
3人の目利きラノベ読みがチョイスした作品を6人のラノベ初心者に読ませ、どれが良かったか決めるというもの。
このラノ」編集部の人も目利きに加わっていましたね。
推薦していたのは以下の3作

戦う司書と恋する爆弾 (戦う司書シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)
“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)
ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

・・・いや、司書シリーズは無謀だろう
結果は・・・まぁ、とても順当でした。
もし私だったら・・・順当に「アリソン」あたりのジュブナイル色強めのやつか、
インパクト重視で秋山瑞人作品あたりをオススメするかも。

ラノベレーベル編集長に訊く「次の一手ライトノベルは終わらない!

今回の特集全体をまとめつつ、各レーベル編集部のコメントやオススメ作品を掲載。
ライトノベル完全読本」にもこういうコーナーがあったのですが、編集長が変わったレーベルとそうでないレーベルがあり、なんかしみじみします。
電撃文庫三木一馬氏が回答。角川スニーカーも代理で坂本浩一氏が回答していました。
HJ文庫やガガガ・ルルルなども代理や副編集長の方が回答しています。
ヒット作とニューカマーをそれぞれ紹介しているのですが、ヒット作についてはもう全て順当過ぎるチョイスで特筆事項無し。
しいて言えばHJ文庫のイチ押しが「超鋼女セーラ」だというのが判明したくらいでしょうか。
ニューカマー部門はMF文庫Jガガガ文庫がやや不安なものの、他はそれぞれ個性的な作品がプッシュされていました。
個人的に好印象なのは集英社SD文庫でした。「鉄球姫エミリー」と「ベン・トー」をチョイスしているのは大いに同意。
ちゃっかり新刊の宣伝をしてる電撃文庫はさすがというかなんというか(笑

まとめ

繰り返しになってしまいますが「見出しは酷いが中身は堅実だった」という事に尽きるかと。
インタビューは読みたい、と思う人選でしたし、各レーベルからの公式コメントも資料として貴重です。
桜庭一樹氏の直木賞受賞をネタにした対談もタイムリーでよかったですね。
強いて言うなら「どこかで既に見た企画」が多く、独自色は薄かったかなぁ・・・というくらい。
まぁ既存の雑誌での特集じゃ限度があると思いますけれど。
「本読みだけどラノベ読みではない」という方向けに良い特集だったと思います。


14日追記
ラノベ人気の本当の理由」の項目に、id:K_NATSUBA氏の指摘を追加しました。