【ヒットの“共犯者”に聞く】涼宮ハルヒの場合 I 角川書店スニーカー文庫編集部インタビュー その1
【ヒットの“共犯者”に聞く】涼宮ハルヒの場合 Ⅱ 角川書店スニーカー文庫編集部インタビュー その2
(発言者:スニーカー文庫編集長、野崎岳彦氏
同編集部「涼宮ハルヒ」シリーズ担当、坂本浩一氏)
「その1」の興味深い内容
・アニメの放映前が130万部
・4月2日の放映開始後、連休明けで180万部
・9月現在では280万部
[坂本氏発言]
ここら辺は公称どおり、5月時点で50万部の伸びはオカシイ。そりゃ品切れしますがな。
・放映後に本の売れ行きが200%以上というのは、記憶にない
・アニメの放送中に店頭で品切れになっちゃったりしたので、ネット書店さんの方に流れた経緯もあったかと。(一部略)
言い換えると、在庫を持たない書店さんは泣いた、ということですよね・・・
[坂本氏発言]
・『ハルヒ』は、映像化されたライトノベル作品としては、出版点数(巻数)は決して多い方じゃない
・全巻がほぼイコールで伸びている
[野崎氏発言]
つまり、「まとめ買いが多く」、「ブーム中の途中脱落が少なかった」と言えそう
・シリーズ化作品というのは仰るとおり、どんなに売れている作品でも、必ずなだらかに下がる
[野崎氏発言]
これも貴重な情報。やはり脱落するひともいるのが普通。
・まとめ買いが多いと把握するまでは欠本が多かった(要約)
なるほど。すぐに全巻重版しなかったのかもしれない。
・1巻が10万部を超えるまでに1年くらいかかった(要約)
[坂本氏発言]
・・・これでもラノベだと売れている部類のような。
「その2」の興味深い内容
・アニメの制作が始まったのは、放送の1年ぐらい前(要約)
[坂本氏発言]
・角川では製作委員会としての幹事をやっている作品(原作を角川書店が持ち、自社で投資を行う)について
原作サイドの編集部と、映像制作サイドのスタッフが話し込みができる
[野崎氏発言]
超重要。原作を活かしたアニメ作りに必要な要素でしょう。
・会社の隣のセクションで原作と映像制作が仕事をしている。
・お金の投資、つまり「製作」部分も社内にある。
・制作会社さんを選ぶにしても、どういう手順で選ぶか分かり、信用できる(要約)
[野崎氏発言]
興味深い。それぞれの部署がより実力を発揮できる環境があるということ。
・映像部門さんとスニーカー文庫との間で、映像化候補作の打ち合わせを定期的にやっています
[坂本氏発言]
・・・さぞかし次に困って(ry
いやいやいや、期待しています。ホント。
・当初の(編集部側の本の売れ行きへの)期待度というのは、「それなり」だった
・理由の一つは「1クール」だったから(要約)
・メディアミックスした場合、小説に効果が出るのは時間がかかる、というのが編集側の感覚
[野崎氏発言]
連載物なので、今回はここまで。
原作側からの一側面だけでも、かなりの大型連載にする気が伺えます。日経本気です。
や、業界ウォッチもするラノベ読みとしては非常に面白い読み物でした。
今までのぶんを読む限り、スニーカー側もハルヒブームは予測しきれておらず、シリーズタイトルの「共犯者」にはあたらないんじゃないかと思います。
あえて苦言を述べるなら、アニメ化直後の欠本の責任は編集部にあるでしょうし。
(ただし、これは完全に結果論であり予測できなくても仕方なかった)
「ブームの中心は原作小説側には無かった」というのが現時点での私の意見ですが、
今後の連載でこの辺りも明らかになっていくでしょう。
京アニ制作陣が「主犯」なのは間違いないと思いますが、それを演出した「真犯人(あるいは共犯者)」がいるはず。
そうすると、真の意味で「共犯者」だった仕掛人は誰だったのかが気になるところです。
追記:
指摘を元に表記を変更。内容は特に変更ナシ。