積極的感想

シフト ―世界はクリアを待っている―

いやしかしいろいろあってテンション高め。

電撃文庫のほうで、「悪魔のミカタ」という人気シリーズを書いている作家さん。
そちらのシリーズも一区切りつけて、活動を休止していたが久しぶりに作品発表。
次はシリーズ再開、と願う人は少なくないはず。

久しぶりのうえお節は良いものでした。お話のパーツ自体はそう斬新なものはないけれど、キャラクタで魅せるタイプとでも言えばいいのだろうか？
中でも注目すべきキーワードは「勇者」という存在。
「勇者」はなにをもってそう呼ぶのか？ここらへんについては一部「A君(17)の戦争」に近いと感じた。
風呂敷の広げ方も、まとめ方も無理しすぎていないし、何らかの形でこの作品世界にはまた触れてみたいと思わせるものがあった。考えてみると、イラストはあったほうが良かったかも。ファンタジーには想像力を刺激するものがあってもいい筈。まぁ、あんまりオタ層狙いすぎない範囲で、だけど。
各所でマイナス評価な版型については、個人レベルなら特に気にならないレベル。
むしろボリュームに不満が。しかしなぁ、この内容だとこれくらいが妥当な気も。そうなると値段との釣り合いが・・・とか、本編以外のところでは色々とあるものの、読後感は悪くありませんでした。

あとがき部分をちょっとだけ使わせて貰って言うなら、「うえお久光はファンタジー系作家なのである」といえるかもしれない。
これは、ゲームに馴染んだ世代にはSF・ミステリよりよっぽど親しめる下地があることを表しているはず。
この作品がハードカバーでしか出せなかったか・・・というと疑問はある。だけど、読み手の幅を広げ、将来の常連を増やすためにはこういう一手もありなんじゃなかろうか。
あー、そこそこ書いたけどまだ書けそうな気がするなぁ。でもひとまず終わる。