平和の温故知新@はてな

ライトノベル関連のニュース、感想、考察などを書いていました。管理人まさかの転職により2013/04/06を持って更新停止。……のはずが、たまに更新されることも。

2006年総括

まえがき

2006年も残すところあと少しになってきました。皆さん今年の積み本は今年のうちに終わりそうですか?
私はお正月休みに頑張ります・・・
さて、この記事を読んでいる方なら「このライトノベルがすごい!2007」や「新世紀エンタメ白書 2007 (毎日ムック)」のライトノベル業界総括記事を読まれている方も多いことでしょう。
しかしまぁ、個人的にでも自分なりにまとめてみようと思います。ちょっと眺めの文章になりますがお付き合いください。

今年最大の話題「アニメ化」

今年打ち上げられた最大の花火は「京アニハルヒ」しかないのはもうご存知のとおり。アニメ関連の盛り上がりを脇においても、原作本の恐ろしいまでの売れ行き貢献は記憶に残ります。ハルヒのみに限らず、「いぬかみっ!」「ゼロの使い魔」なども好調でした。もちろん、その影にはあまり話題にならず消えていった作品たちもありますが。ともあれ、メディアミックスによる販売促進の効果はまだまだあることが証明されたこともあり、05年から続いているアニメ化ブームはしばらく続くと見て良いでしょう。ただし、「アニメファンが原作を読みたいと思うような作品」じゃないと効果は薄れるのでご用心、というところ。
個人的なアニメ化予想作品としては「とある魔術の禁書目録」「乃木坂春香の秘密」「とらドラ!」あたりが有力とみます。あとは「でぃ・えっち・えい」「アスラクライン」「私立三十三間堂学院」あたりも気になりますね。

続々と行われた「新規参入」

話題が出ていたのは05年からですが、実際に創刊されたのは今年でした。ジグザグノベルズ・GA文庫・ぜータ文庫・HJ文庫などなどが参入。講談社ノベルズの発展系、講談社BOXなんてのもありました。現状はポリフォニカからジョン平まで幅広く攻めるGAと西尾維新プッシュの講談社BOXが目立つというところ。
HJ文庫の雑誌であるノベルジャパンはやや全体の方針が見えないものの、連載はなかなか面白いものが揃っています。早くも店頭では創刊時のラインナップ作品の続編も並んでいます。来年に参入を控える巨人、小学館ガガガ文庫ルルル文庫が参入する前にどれだけ足場を固めるかが各社の課題と言えそうです。

ベテランに刺激?「復刊・完結」

業界全体が盛り上がったためか、ベテランの作家にも活躍の場が多く見られました。特に五代ゆう氏は新シリーズを出しつつ複数レーベルから既刊の復活もあったという、ファンにとって嬉しい1年でした。また、冲方丁氏も新作発表と復刊が年末に行われています。傾向としては富士見ファンタジア文庫からの復刊が目立ち、老舗の貫禄を見せたというところでしょうか。


今年に完結した作品で、昔からのファンが感慨深いのは「サーラの冒険」でしょう。他にも「お・り・が・み」や「銀盤カレイドスコープ」「空の鐘の響く惑星に」といったシリーズが完結されました。そうそう、日日日氏はつい先日「蟲と眼球と〜」シリーズを完結させてますね。単発以外では初の完結でした。それぞれにファンから愛されながら幕を閉じました。打ち切りになる作品も多い中、結末まで辿り着けた作品と作者には「お疲れ様でした」と言いたいですね。今現在も完結に向けて動いているシリーズもあり、複数のシリーズを続けて読んでいる人からは嬉しい悲鳴が聞こえるかもしれません。

さらに伸びそうな「越境作家」

今年の話題の中でも、特に業界筋の方の注目が高そうなのがこのトピック。言い換えると「桜庭一樹橋本紡有川浩の三氏が評価された」ということです。版元をまたいで活動する作家は少数ながらこれまでにも存在していました。ただ、前述のお三方はさらに道筋を広げた印象があります。「作家さんに多くの選択肢が与えられる」イコール「読者は作品を手に取る可能性が増す」ということなので、この流れは単純に歓迎したいところです。
や、実は裏で色々と大人のの事情があるのかもしれませんけどね・・・

「総括」

ここまで色々書いてきましたが、ライトノベル業界にとって今年は総じて「良い一年」だったのではないかと思います。
各種のトピックによりライトノベル読者は増えたでしょうし、今後もしばらくその流れは続きそうです。
あとは、どれだけその地位を定着されるかが問われることになりそうです。
仮に来年の攻防をレーベルごとに語るなら、まず電撃文庫が逃げ切り状態をどのように維持するかがポイント。
MF文庫JGA文庫はメディアミックスなどの手法を確立しつつありそうなので、どこまで追い上げることができるか。
富士見のファンタジア文庫・ミステリー文庫はもうひと踏ん張り欲しいところ、新人の更なる成長が待たれます。
SD文庫HJ文庫は・・・まぁマイペースでいいんじゃないでしょうか。
ファミ通はノベライズとオリジナルのバランスに注目。


こういった規模の大きい話は最終的に「なるようにしかならない」ものかもしれません。しかし、まだ見ぬ多くの良作に出会えることを来年も楽しみにしたいと思います。