平和の温故知新@はてな

ライトノベル関連のニュース、感想、考察などを書いていました。管理人まさかの転職により2013/04/06を持って更新停止。……のはずが、たまに更新されることも。

ライトノベルが危ない話を再燃させた「オタク成金」感想と各所感想まとめ

アフタヌーン新書 005 オタク成金

アフタヌーン新書 005 オタク成金

内容について

昨日のエントリだけじゃアレなので、ちゃんと読んでみました。
この本の大まかな主張は以下の通り。


・男だったらビッグになれ!
・オタク業界(特に文字媒体)にはチャンスがある!
・目指せオタク成金!


・・・まぁ、間違ったことが書いてあるわけではなく、「あかほり氏の見てきたオタク業界」の一端を知ることができました。
ライトノベル業界からは距離を置いているとのことですが、若手の作家さんとも積極的に交流している模様。
途中幾つかの箇所は後輩や作家志望者へのメッセージになっているように感じました。
ちょっと気になった点としては
・「兼業作家」という選択肢にはあまり触れられていなかった
・聞き手役のライターさん主観部分がわざとらしい偏見まみれで微妙
といったところ。

ライトノベル業界関連

話題になっていたライトノベル業界に関する言及については、↓の箇所について補足が要りそうだったので引用

クラスに40人いたら、本を読む人間は5人しかいなくて、残りの35人でも読めるものを作ろうっていうのが始まりだった。そのために意図して行間あけてスカスカにしてたのに、それをまたギッチリにしちゃってさ。だから、また40人中5人しか読まない小説になってしまった。

あかほり氏の主張を私なりに解釈すると、
・クラスの40人中35人はそもそも本なんか読まない
・でも自分はその35人(のうち何人か)にも読めるものを書いた
・今はまた一部の人しか読んでいないので先行きに不安がある
といったように考えておられるようです。


2つ目と3つ目に関しては人によって意見が分かれそうなところですね。
また「じゃあいま40人のうち大多数が触れているものってなにさ」という4つ目のお題も出せそうです。
・・・ニコニコ動画とかなのでしょうか?(あんまり自信なし)


それともうひとつ気になる点として「ライトノベルのSF化・新本格化」について語ってる箇所。
これ、要するにこんな感じのことを言いたかった・・・はず。
ライトノベルのSF化=ある程度の共通言語をもっていないと読めない」
ライトノベル新本格化=アイディアだけで勝負する作家が増えた」
「SF化・新本格化」と銘打っちゃうといろいろ語弊がありそうです。
インパクトは薄いですが「複雑化・ワンアイディア化」とか表記したほうが良かったような。

まとめ&感想リンク

ライトノベル業界が先鋭化して」とか「蛸壷化」とか、そこらへんの話は前回エントリでも書いたとおり、
内容的に目新しいところは少なかったように思います。
まぁ結論が出ないのもいつものことなので・・・
そして「40人のうち大多数」を狙ってなにかしたいのなら、手段がライトノベル作家である必要はないのでは・・・とも。
いつもの通り、ライトノベル業界が本当に危ないのかはわかりませんでしたが、本自体は興味深い内容でした。


以下、書きながら参考にした各所の感想など。
「オタク成金」あかほりさとる・天野由貴 - たまとわ (We don’t need no education)
語り口の部分など、割と厳しめの評価。


好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! ―オタク成金 /あかほりさとる・天野由貴
「栄光と転落の軌跡」と「ラノベ&オタク業界への危惧」のそれぞれについて要所を押さえてまとめておられます。


【結構スゴ本】「オタク成金」あかほりさとる,天野由貴:マインドマップ的読書感想文
創作論や考え方についての箇所を高く評価。


あかほりさとるの例の本を読んだよ。 - Something Orange
ライトノベル畑のひとは無理に読まなくてもいいよ。あかほりさとるという個人に興味があるひとは買ってもいいけれど、それ以外のひとは立ち読みで十分。」との評価。
こっち読んでおけば私のエントリいらなくね?と思って非常にテンションダウンするなどしました。


結構いろいろな評価があるので、興味のある方は手にとって中身を確かめてみることをお勧めします。