平和の温故知新@はてな

ライトノベル関連のニュース、感想、考察などを書いていました。管理人まさかの転職により2013/04/06を持って更新停止。……のはずが、たまに更新されることも。

2008年ライトノベル十大ニュース「決定版」

2008年ライトノベル十大ニュース(まいじゃー推進委員会!)
ライトノベル10大ニュース(2008年)Matsuの日記
余裕の無かった昨年に比べても、更に余裕の無い公開となってしまいました・・・
ともあれ、今年もいってみましょう。
「十大ニュース」と謳ってますが、総括っぽいのは仕様。

1.昨年に引き続き新レーベル参入

もうここ何年かの定番ですが・・・
今年も色々なレーベルが参入しています。
大別すると「オリジナル路線」「ノベライズ路線」「ノベルス路線」の3種でしょうか。

一迅社文庫
メガミ文庫(リニューアル)
なごみ文庫(創刊は07年11月)
GAMECITY文庫(創刊は07年12月)
VA文庫
幻狼ファンタジアノベルス
朝日ノベルズ

既に市場が飽和状態・・・なんてのはよく言われることですが、
こちらのエントリによると2008年は847作品が刊行されたとのこと。
(主だったレーベルの合計数なので、ノベライズ系も含めば更に増える?)
今後は良作を探すのが更に大変になるかもしれません。

2.「感動をありがとう」の完結作品

フェードアウトした作品や、特に完結の告知無く「続きが出ないだけだ!」なのもありますが、ここでは主に「大団円」な作品を紹介。

文学少女」シリーズ
吉永さん家のガーゴイル」シリーズ
さよならピアノソナタ」シリーズ
ダブルブリッド」シリーズ
「吸血鬼のひめごと」シリーズ
「マルタ・サギーは探偵ですか?」シリーズ
SAS」シリーズ
「魔女ルミカの赤い糸」シリーズ
「姫宮さんの中の人」シリーズ
「ねくろま。」シリーズ


発売日的に番外:戦闘城砦マスラヲ・ムシウタbug・マリみてFate/Zero

目立つのはやはりファミ通の人気シリーズ2作の完結です。
その他では、あまり引き伸ばさずに完結していくMF文庫JHJ文庫などもありますね。

3.アニメ化に「2期」ブーム?

これまでもライトノベル作品のアニメ化は多かったですが、
有力な作品が一通りアニメ化したこともあってかアニメ化の「2期」というのが目立った気がします。
「2期マダー?」という声も良く聞いたような(苦笑
2009年には「狼と香辛料」や「神曲奏界ポリフォニカ」などが予定されていますね。
一部の作品は3期、4期と続いているのも注目。

4.漫画サイト、ニュースサイトにライトノベルが浸透

ラノベサイトの影響はわからないが、大手ウェブサイトはラノベの売上に影響を及ぼしているかも(9月18日付過去ログ)
前にも書いたのですが、やはり今年はこれがあったなぁ、と思います。
以下、過去ログから引用

ここ1年くらいで、「ライトノベルが専門でないウェブサイト」がライトノベルについて触れる機会が増えたように感じます。
ざっと思いつくところだと以下のようなエントリがありました。
忘れません、この素晴らしき“文学少女”の物語を(DAIさん帝国)
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」 かーずSP・アキバBlogが名指しで登場(アキバBlog)
田中ロミオのAURAよかった。面白かった。(ぼくはまちちゃん!)
僕らが待ち望んでいた物語が、ここにある。「とある飛空士への追憶」(マンガがあればいーのだ。)
「とらドラ!」はスゴ本(わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる)

この他にも、「俺の妹が〜」とかーずSP&アキバBlogのコラボなどが記憶に新しいですね。
ともあれ、この影響でラノベ読みが増えるといいなぁ、と来年にも期待。

5.既存作家の新シリーズが人気

「今年の話題作」というのを考えると、デビュー済みの作家が放つ新作が目立った印象です。
思いつくのは↓のようなところ。一つ前のエントリと内容がかぶってますが(笑

とある飛空士への追憶
生徒会の一存」シリーズ
俺の妹がこんなに可愛いわけがない
「龍盤七朝 DRAGONBUSTER
境界線上のホライゾン」シリーズ
SH@PPLE」シリーズ

続きの有無などが気にならなくもないですが、面白く作品が増えるのは大歓迎なので今後にも期待。

6.桜庭一樹氏が直木賞受賞、有川浩氏は図書館戦争が人気

今年のいわゆる「越境」関連はこの2つに集約されるかと。
前者はもう説明不要でしょう。今年は既刊の新装版や移籍が目立ったので、来年はやはり「GOSICK」新作なども読みたいですね。
後者は今回、冬のコミケで実感しました。図書館戦争のサークルさん増えてましたねー・・・
サークル数比較をされているサイト(12月17日部分)によると、夏から冬で20近く増えていました。
色々と内容についての議論もありましたが、ノイタミナのアニメ効果で読者層が広がったように思われます。

7.コミカライズ戦線に変化アリ?

図書館戦争SPITFIRE! (1)図書館戦争 LOVE & WAR 第1巻 (花とゆめCOMICS)
とある魔術の禁書目録(インデックス) 1 (ガンガンコミックス)とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲 (1) (電撃コミックス)

今年に始まったことではありませんが、一つの作品を複数の媒体でコミカライズする動きが続いています。
直近では、文学少女鋼殻のレギオスが展開中です。
これもまた、読者層を広げる施策として面白いと思うので、どんどんやってほしい所存。

8.今年も続いた、エロゲ業界からの「越境」と「活躍」

エロゲライターの「ラノベデビュー年」一覧Half Moon Diary)
これも毎度毎度ではあるのですが、かといって見逃すのもどうかという話で。
リンク先では主だったライターのラノベデビュー年がまとめられています。
以下は今年にオリジナル作品でラノベデビューされた方々。

朱門優「ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。」
魁「死神のキョウ」
早狩武志「ハーフボイルド・ワンダーガール」
瀬戸口廉也唐辺葉介)「PSYCHE

まだラノベへの越境こそないものの、実力的には面白くなりそうなライターさんが残っているのでこの流れも来年へ継続なのかも。


9.作家のプライベート活動活発化&表面化

色々な動きがあるので上記のようにまとめてしまいましたが・・・
「いけぬこ研究会」の活発な活動とそれを元にした「ばけらの!」の存在や、
先のコミケでのMF文庫J作家合同誌「みみっく!」などが印象的でした。
夏のSF大会で「ライトノベル作家による大喜利」や「ライトノベル作家が、 ひとりで書き、作り上げた美少女ゲーム」ってのもありました。
このへん目立つようになったのはもともと存在していた作家さん同士の交流についてなど、
blogなどで公開する作家が増えてきたから・・・なのかな、と個人的には思っていたりも。

10.「ライトノベルが危ない」議論が噴出

なぜ『ライトノベル業界が危ない』と言われるのか考えてみる(8月31日付過去ログ)
「ライトノベル業界が危ない」に対するごく個人的な印象(同上)
春に続き、秋冬のライトノベル編集者の異動・更迭が激しすぎる件(さて次の企画は)


8月末頃のエントリでは割と楽観しているところもあったのですが、
「売上が減少している」という話題はやはり気になります。
正確なデータが公開されることって無いので、推測するしかないのが辛いところです。

まとめ

全体の印象としては、個々の興味深いニュースは多かったものの、「歴史的な大事件」というのはなかったように思います。
や、直木賞受賞は大ニュースではあるのですが、あんまりライトノベル関連とは言いづらいところもありますので(汗
もちろん、ある日いきなり常識が覆るような大変化というのは稀なので、変化の兆候を掴むことの方が大事なのかもしれませんね。
そういった意味では既存の路線に加えて
「各種ノベルスや来年創刊のメディアワークス文庫による、年齢層高めのアプローチ」
「児童書側に読者のすそ野を広げる、角川つばさ文庫のアプローチ」
など、新規開拓路線の動向について注目したいと思います。


最後になりましたが、今年も一年当サイトを訪問頂き、ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたしますという挨拶で、2008年を締めくくりたいと思います。