平和の温故知新@はてな

ライトノベル関連のニュース、感想、考察などを書いていました。管理人まさかの転職により2013/04/06を持って更新停止。……のはずが、たまに更新されることも。

ガガガ文庫について

ガガガ文庫は衰退しました
見事なまでの釣りタイトル・・・ということで反応してみたいと思います。
内容としては

  1. ガガガ文庫新人賞には勢いが無い
  2. 特定の人物が複数の新人賞の審査を行うことへの批判

さて書くか・・・と思いきや、安眠練炭さんが論点をまとめてくれていました。
せっかくなのでこれを基に考察してみます。


ガガガ文庫は衰退しましたか?

  1. 新人賞受賞作についての評価は適切かどうか。
  2. 新人賞への冲方丁の関与の度合いについての見積もりは適切かどうか。
  3. ガガガ文庫における新人賞受賞作の重みづけは適切かどうか。
  4. ライトノベル界の現状についての認識は適切かどうか。

新人賞受賞作についての評価は適切かどうか。

1番については適切であると考えます。
二作品ともけして悪い出来ではありませんが、他レーベルの大賞級(「ミミズクと夜の王」)に比べるとやや力不足と言わざるを得ないかと。

新人賞への冲方丁の関与の度合いについての見積もりは適切かどうか。

2番について。これは保留としたいと思います。関係者じゃないと本当のところは判らないと思いますし。

ガガガ文庫における新人賞受賞作の重みづけは適切かどうか。

3番について、これについてはUSA3さんとちょっと意見が違います。webに公開されている編集部のインタビューに以下のような記述があるからです。

ガガガ文庫にはオリジナル作品、自社マンガ作品との連動、他社さんの作品のノベライズという3つの柱があります。

この発言を当てはめてみると、ガガガ文庫のリソースは大きく三分されているとは言えないでしょうか。更にはオリジナル作品の中にベテラン作家の枠があることを考えると、ガガガ文庫は現時点において新人賞に過大な期待をしていない」かもしれません。
とはいえ、昨年創設された多くのレーベルと異なり「レーベル創設と同時に新人賞作品を発表している」というだけでも、けして軽んじているわけではないことは伺えます。

小学館には、いろんな物を出して、どれが伸びるかを見させてくれる懐の深さがあることです。1〜2年様子を見てダメだったらすぐ撤退する、ということにはならないはずですので、どうぞよろしくお願いします。

というインタビューでの回答も考えるに、「広い視野で新人賞を考えている」としたほうがいいのかもしれませんね。
以上の推論から、USA3さんのガガガ文庫における新人賞受賞作の重みづけはやや重すぎると考えます。

ライトノベル界の現状についての認識は適切かどうか。

4番目はライトノベル界の現状について。詳しくやると長くなるのでざっくりと。
近年のライトノベル業界参入組で、小学館は最大級の規模を持つ出版社だと言えます。前述のインタビューからも、そう簡単に撤退する気が無いであろう事が伺えます。新規参入が増えることで市場がどう変化するかは未知数ですが、資金力・ノウハウのある出版社は生き残る可能性が高いと思われます。
USA3さんは小学館の撤退の可能性についても危惧していましたが、この可能性は低いのではないでしょうか。

まとめ

結論として「ガガガ文庫新人賞には勢いが無い」という主張はそう外れていないと思います。ただしこれは、ガガガ文庫の方向性が新人賞のみに集中しているわけでないため、そう大きな問題にはなりえないのではないでしょうか。
「特定の人物が複数の新人賞の審査を行うことへの批判」については、はっきりとした因果関係が見られるわけではないので私は結論を保留します。


最後にUSA3さんの

「今回大賞該当作なしで良かったんじゃね?」

という疑問に関しては、
「最初の新人賞で大賞が出なかったら応募が減るからじゃない?」
ということで。


余談
レーベルや新人賞の創設は企業の都合ですが、新人はそう都合よく出てきてくれるとは限りませんね。芸術分野を商売にするのはとかく難しいものだと思います。