平和の温故知新@はてな

ライトノベル関連のニュース、感想、考察などを書いていました。管理人まさかの転職により2013/04/06を持って更新停止。……のはずが、たまに更新されることも。

「新世紀エンタメ白書2007」感想

新世紀エンタメ白書 2007 (毎日ムック)

新世紀エンタメ白書 2007 (毎日ムック)


毎日新聞のムック本。そして、「まんたんウェブ」「まんたんブロード」の総決算ともいえる一冊です。
マンガ・ブック・アニメ・ゲームの4項目で、今年の注目作を批評の形で紹介。
内容は基本的に過去の批評や特集からの再録。追加された部分は対談とTAGRO氏のサト漫画など。
また、各分野ごとに今年を振り返る総括記事もプラス。


(以下はブック関連にのみ絞った感想です)
今回掲載の批評は全て既読なので、肝心なのは総括記事。ブックの総括は細谷正充氏です。
内容は「アニメ化」「新レーベル」「中堅シリーズ完結など」「一般文芸への越境」
特に奇抜な内容ではないのですが、作品名も多く言及されていて安心できます。
煌夜祭」「ジョン平とぼくと」とか「カーリー」「鋼鉄の白兎騎士団」の名前が挙がるあたりさすがです。


まとめとしては「出版業界全体に変化の兆し」というところがポイントらしい。
まだ読者には見えてきていませんが、第二第三の桜庭一樹橋本紡が生まれるのかも。


そうそう、今年の傾向としてなんと学園異能にも言及がありました。
やったよ!ちゃんとした批評家の方に使ってもらえたよ!!・・・と、ちょっと嬉しいですね。
まぁ「学園異能ものも増えてきているけど一過性のものだろう」という触れ方だったので、言葉としての旬は過ぎていくのかもしれないとは思います。



このムックの楽しみ方は
「得意なジャンルの作品セレクトにニヤリとする」
「普段興味が無いジャンルの参考にする」
という、批評本来の用途に即したものだと思います。
ブック書評の部分はどうしてもこのラノ07と比較してしまいますが、こちらは厳選した少数精鋭でこのラノはもう少し広く浅くという感じでしょうか。
各分野をパラパラと眺めて今年を振り返るにはちょうど良い1冊でした。


余談
TAGRO氏のマンガで、「11人のサト」イラストのちょっとした仕掛けについて言及があった。
うんうん、気づきにくいけど気づいてますよー、というそんな小ネタ。
また、TAGROさんに渡りをつけたのは更科修一郎氏だという事実も推察できました。