平和の温故知新@はてな

ライトノベル関連のニュース、感想、考察などを書いていました。管理人まさかの転職により2013/04/06を持って更新停止。……のはずが、たまに更新されることも。

ラノベと延期と、電撃文庫の秘密

Google 延期


「延期」といえばゲームの世界が有名ですが、
ライトノベルにも延期の事例はあります。
事例その1:ネ○ソギラ○カル

上・中・下巻が2004年9月から3ヵ月連続で発売される予定であったが、なんらかの事情で上巻の発売日が9月上旬から9月末に、そして未定へと延期された。
(中略)
結局、上巻は2005年2月、中巻は2005年6月、下巻は予定より1年遅れの2005年11月に発売され、戯言シリーズも完結となりました。
はてなキーワードより)

事例その2:○ 〜ギロチン〜

 今の状況ですが○○さんのPCが壊れたため
データが飛び、泣きながら原稿を書き直してます。
発売予定は7月なので、もう少し待ってください。
(作者コメントより)

(当初発売は4月くらいだった。結局7月に発売)


事例その3:R.○.D

('06/02→'06/08→'06/09より延期)

またしても読子がいなくなりました。それもこれもすべで自分の不徳のなすところと反省しつつ、脳内にて彼女の行方を追っております。そもそも自分はなぜ、この話を書こうと思ったのか。読子という女はなぜ自分のところにやって来たのか。改めてその根本たる問いに対峙しつつ、『R.O.D』というものに向き直っている次第です。どうか今少し、ご猶予をいただければ嬉しく思います』
(作者コメントより)

(現在は発売未定)


このように、「延期」というものはライトノベルにも存在します。
本エントリでは「何故延期するのか」というところを軽くおさらいしつつ、
業界全体の延期事情や滅多に延期をしない驚異の某レーベルについて語ります。


追記
延期と打ち切りは切っても切れない間柄っぽいので、
玲朧月さんの「打ち○り? ちがう、続きが出ないだけだっ! …orz」を紹介しておきます。

「何故延期は起こるのか」

これについては語る方も多いのでここでは簡単に済ませます。
大まかに分類すると
・文章の遅れ
・イラストの遅れ
・製本までの工程の遅れ
ライトノベルで延期になる主な要素は上記三つでしょう。
敢えて付け加えるなら「大人の事情」で計四つかもしれませんが。
どれも避けようと思って避けられるものではなく、簡単に回避できるなら延期は生まれません。
努力しても力及ばなかったとき、「延期」が生まれると言えます。

意外と多い業界の延期事情

ここ一年の各レーベル出版状況をみると、意外と延期作品は多いです。
現時点での延期作品は「ラノベの杜」で見ることができます。
適当なレーベルを選んで発売予定を見ると、だいたい1〜2作は延期になっています。
大抵は大きく宣伝が始まる前にひっそりと延期するのですが、
たまに発売日にフタを空けたら延期していた・・というくらい突然に延期することもあります。
折り込みチラシの差し替えがギリギリになった例も最近ありました。


一定の刊行点数を確保したい

スケジュールに余裕が無い

ふとしたトラブルで延期になりやすい


そんな背景もあるのかもしれません。
しかし、そうではないレーベルももちろんあります。

延期のほとんど無い脅威のレーベル「電撃文庫

ご存知の方も多いと思いますが、電撃文庫は現ライトノベル系レーベルの王者です。
そのシェアは電撃文庫だけで全体の4割とも言われるほど。
毎月12冊前後の刊行点数を誇り、他の追随を許しません。
そして、その栄光の裏には「ほぼ延期が無い」という事実が存在します。


私の知る限り、発売日を発表された作品が延期した例はほぼありません。
逆に延期した事例がありましたら指摘いただきたいくらいです。
電撃ゲーム文庫のほうは他レーベルとそう変わらない頻度で延期があるようですが、
電撃文庫側の延期率は相当な低さです。
ああ、一つだけ延期した電撃文庫作品がありました。
DS電撃文庫 アリソン 特典 電撃文庫カバー付き(←コレ)
・・・まぁ、これも例外ということで。


ここまで延期が少ないのは、相応の理由があると思います。
具体的には、先述の延期理由に対策があるからだと考えます。
・文章の遅れ→締め切りから刊行までの期間を長くしている
・イラストの遅れ→納期を守る絵師を多く確保している
・製本までの工程の遅れ→製本までの期間を長くしている
・大人の事情→?
上記の理由は推測なものの、確実に効果が出ていると考えます。


「刊行までの期間に余裕がある」
これは、作家のあとがきの日付や、作者サイトの日記からの推測です。
大抵の場合、あとがき日付や作者サイトの修羅場宣言から3ヶ月程度でその作品は発行されています。
また、電撃の作品刊行計画はかなり長期視点であることが刊行ペースからも読み取れます。
刊行点数の多さ、所属作家の多さなどから考えても、
恐らく年単位でメインの計画を立案し、細かい部分すら余裕をもって調整しているのではないでしょうか。


「絵師を多く確保している」
これもシェア一位の強みでしょう。
電撃文庫発行のメールマガジンでは、最速で3ヶ月先の新刊情報が判明します。
このとき、稀にイラスト担当が未定のままタイトルのみ発表されることがありますが、
2ヶ月先の情報が出始める頃には担当がほぼ確定し、1ヶ月ほど前から表紙画像の公開も行われます。
スケジュールに余裕があり、仕事を依頼できる絵師の数が多いからこその安定した進行と考えられます。


物事を円滑に進めるコツは、極論すると「人員・予算・時間」だと個人的には思います。
今の電撃文庫にはほぼ全てが揃っている状況のはずです。そりゃ強いわけです。
この仕組みが揺らぐ事態は考えにくいですし、当面の間電撃文庫は延期という言葉とは縁がなさそうです。

まとめ

いま、業界は戦国乱世といってもいいのかもしれません。
王者である電撃文庫はその牙城を固く防護しており、
続々と参入する新レーベルは安定した経営に向けて腐心しているでしょう。
電撃文庫並に延期の少なくなったレーベルが出たとしたら、
それは新たな王者候補の誕生なのかもしれません。

オチ

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えーと、いつの間にかAmazonでは9月30日になってますけど、
そもそも正式発売日って告知されてましたっけ?
というかこれも既に一度延期してるよね?
続報に期待。