平和の温故知新@はてな

ライトノベル関連のニュース、感想、考察などを書いていました。管理人まさかの転職により2013/04/06を持って更新停止。……のはずが、たまに更新されることも。

「灰と幻想のグリムガル」について

【これまでのあらすじ的な過去記事リンク】
サイト更新停止&ライトノベル編集への転職ご報告
ラノベ編集に転職したんだが担当作品がアニメ化になった件について(最近のラノベ(笑)的、長文タイトル)

これを書いているのはアニメ最終話の最速放送直前です。
いや、本当にあっという間の3ヶ月でしたね……


はてダでは節目節目で報告していたので、今回もある意味恒例なサイト更新です。
個人的にも「8巻刊行&アニメ最終話」ということで一区切りかな、と。


あえて資料の読み返しなどはせず、記憶を頼りに書いています。
いちおうネタバレと営業的にまずい部分などは触れていない、はず。

刊行前

2012年にオーバーラップ文庫が創刊するにあたり、当たり前ですがその前から準備はしていました。
4月〜6月で1冊ずつ担当したので、グリムガルはラノベ編集になってから3冊目の担当作品ですね。
企画段階では何番目だったっけ……


当初、全然違う仮タイトルがついていましたが、内容はほぼいまの通りでした。
十文字さんが何度か語っていますが、デビュー作「薔薇のマリア」シリーズ初期にあったゲームっぽさを意識しつつ、
わかりやすく「ゲームの中」とは描写しない形です。
等身大のキャラクターたちが異世界で冒険するけど、簡単に大活躍できるはずもなく……という方向性ですね。
(アニメ・原作ともにわかりやすく「この世界の秘密」を明示していないので、モヤッとするひともいるかも)


この内容に、どんなイラストをお願いするべきかを十文字さんとも相談しつつ、
当時商業デビューしたばかりだった白井鋭利さんに依頼することに。
どういう方に、どんな方向性でお願いするかなど、経験の浅いこともあり、
かなり「薔薇のマリア」の影響は受けていると思います。
1巻カバーイラストにパーティ全員いるのは、まんま薔薇マリ1巻がネタ元ですね。

1巻刊行のあと

ありがたいことに、じわじわと売れてくれました。
あと電子書籍、特にKindleストアでやたら売れました。
あれ、ほんとなんでなんだろ……


内容については基本的に私から大きく口を出すことはなく、
十文字さんの書きたいものを書いて頂いたと思います。
完成原稿をお預かりしてから、白井さんとともにどうイラストで彩るかを考えることが多かった印象ですね。


ちなみに2巻カバーイラストが1巻と似ててわかりにくいのは100%私のせいです……
当時はそのまま進めてしまいましたが、いまならやらなかったでしょう(汗)


2巻カバーがあれだったので、3巻からガラッとイラスト&ロゴが変わっていて、
その後も「似た感じで作る」→「節目でガラッと変える」となっています。
2冊ごとに変えるとちょうどいいかな、と思いつつ7巻は内容に合わせてパターン踏襲したり、
割と臨機応変に対応しました。


あ、あと初版だとキャラ紹介ページや設定ページに誤字があったりします……
これは重版していく中で順次直しましたが、結構そのままになっていた箇所も……

アニメ化発表〜最新8巻まで

刊行計画がしっかり決まっていたので、まずはそれを守れて一安心でした……!
コミックスとも同タイミングの発売ですから、延期するわけにいかないですし。
既刊の帯もアニメ化合わせで作り直しするなど、良い経験になりました。


ストーリー的には事前に要点を少しだけ聞くことはあっても、今後の展開など聞いていない部分のほうが多いです。
8巻を読んで「9巻、はやく!」という感想になった方、
私もまったくもって同意です。
次は一体どうなるんだろ……

アニメ化関連

今回のグリムガルのアニメは原作へのリスペクトも大事にして頂きつつ、
アニメならではの形に仕上がっており、大変光栄でした。


この数ヶ月、いろんな人に「グリムガルのアニメいいよね」と言われて、
「本当にありがたいです」と返しまくっていた気がします(笑)


特に声優さんたちのハマり具合は本当にすごく、
原作を読んだら各キャストさんの声で脳内再生できるくらいです。


(ここまで書いてからアニメの最終話を見た)


……いやあ、良い最終回でしたね……!
アニメ後半のストーリーは割と原作とは違っているんですが、
それぞれの媒体を活かした展開になっているかと。


そしてメリイ可愛いですね。可愛すぎて死ぬかと思った……
ユメ、シホルもそれぞれの良さが出ていて、本当にみんな成長した感じがでてるなあ、と。


視聴して頂いた皆様とスタッフ・関係者の皆さんに最大限の感謝を。

まだまだ続くよグリムガル

とりあえずは一区切りついた感じもありますが、
アニメ方面ではBD/DVDの発売やイベントなども目白押しです。
原作の方も更に続いていくので、それぞれ無理ない範囲で応援いただけますと幸いです。


この作品を少しでも多くの人に知ってもらえたら、これ以上ないくらい嬉しいです。
それでは。また、明日。

担当編集作品「灰と幻想のグリムガル」のTVアニメが放送されました

灰と幻想のグリムガル」TVアニメ公式サイト
http://grimgar.com

アニメ公式Twitter
https://twitter.com/grimgar_anime

灰と幻想のグリムガル level.7 彼方の虹 (オーバーラップ文庫)

灰と幻想のグリムガル level.7 彼方の虹 (オーバーラップ文庫)


お久しぶりです、平和(あるいはオーバーラップ文庫の編集K)です。

前回のアニメ化発表記事からさくっと3ヶ月くらい経過していて焦りますね……

TVアニメ放送開始

昨晩、TOKYO MXAT-Xが最速でTVアニメの1話が放送開始になりました。
BSやCSでの放送、ネット配信などもあるので、何らかの形で皆さん視聴できる環境にはなるのかな、と。


1話はそこそこ制作過程の途中も見せていただいていたし、
昨年末の先行上映会などもあったわけですが、それでもテレビで放送されると感慨深いものがありました……
(あとオーバーラップ文庫のCMも流れましたね! そりゃそうだ。)


放送を楽しんでいた視聴者さんたちの様子はTwitterなどでも拝見しており、
作品を作り上げたアニメ制作スタッフの方々にとってもありがたいものじゃないかな、と思います。
少なくとも私はとても嬉しかったです。ありがとうございました……!


そしてこの後、2話以降もどんどんおもしろくなっていくので、楽しみにしていてください!

ちなみに原作の方は

オーバーラップ文庫にて、1巻から7巻まで刊行済みです。

灰と幻想のグリムガル level.1 ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.2 大切じゃないものなんか、ない。 (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.3 思い通りに行かないのが世の中だと割り切るしかなくても (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.4 導き導かれし者たち (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.5 笑わないで聞いておくれよ (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.7 彼方の虹 (オーバーラップ文庫)

前も書いていましたが、次の8巻もそれほどお待たせせずにお届けできる見込みです。
カバーのロゴパターンはまたちょっと変更する予定だったり。
7巻でやることも考えてたんですが、内容を考慮して8巻のほうで実施しようかなと相談中です。


また同一世界観で繰り広げられる英雄譚「大英雄が無職で何が悪い」シリーズも刊行してますので、
こちらもよろしくお願いいたします……!


小説だと読むのに時間がかかる……という方には、コミカライズ版もご用意しております。

こちらはアニメより原作寄りの設定になっていますね。すごく丁寧なコミカライズで、ありがたいです。

幸運なこと

今回のアニメ化、本当に幸運な事にいろんな所の方々が「グリムガル」という作品を気に入ってくれていて、
その気持ちを持ちつつ各自の持ち場で素敵な仕事をされているのが、本当に嬉しいです。
(原作の最新7巻も結構な好評で、この作品をお届けできて良かったです……!)


とある男性声優さんと少しだけお話する機会などもあったのですが、ご自身の役についての理解が物凄く深くて、
この方に演じて頂けるなら間違いない、と感動することもありました。


アニメになるとプロジェクトの規模がとても大きくなるのを日々感じていますが、
しっかり勉強させて頂きつつ、自分もいろいろと恩返ししていかねば、という気持ちです。


引き続き、まだまだ広がる「グリムガル」ワールドをよろしくお願いします。

ラノベ編集に転職したんだが担当作品がアニメ化になった件について(最近のラノベ(笑)的、長文タイトル)

灰と幻想のグリムガル」TVアニメ公式サイト
http://grimgar.com

アニメ公式Twitter
https://twitter.com/grimgar_anime

ご無沙汰しています、平和です。
記事タイトルはなんとなく遊んでしまいました……

正式発表までそわそわ

既報の通り、編集を担当しているシリーズ「灰と幻想のグリムガル」が、
2016年1月よりTVアニメ化されることが決定・発表されました。


……いやあ、よく事前にバレなかったですよねー……
過去の経験上、いろいろな形での事前バレを見てきていただけに、
16日のイベント当日までそわそわしっぱなしでした……


まだお伝えできることは多くありませんが、1月というともう目前なわけで、
今後ドンドンと情報が公開されていく予定です。
いや本当に、めがっさ貴重な経験をさせて貰えていて、ありがたい限りです。
私一人がどうこうじゃなく、いろんな会社のいろんな役職の方がこの作品を
良いアニメにしようとしてくれていることに、時に呆然となるくらいです。


PVからある程度は伝わると思うんですが、アニメスタッフの方々は「本気」です。
本気でこの作品を、アニメなりの表現で高いクオリティの作品にするべく、尽力頂いています。

作品が広がっていくワクワク

16日のトークイベントでも少し触れられていましたが、最初は本当に十文字先生と私の2人で始めた企画でした。
(イベントで言及された時、めちゃめちゃ恥ずかしかったですが……)
「グリムガル」はオーバーラップ文庫が創刊してから私が3冊目に作った本で、
自分の読みたいものが読者の皆さんの読みたいものだと信じて、十文字先生にオーダーをして、
書いていただいた作品です。
薔薇のマリア」シリーズ読者さんに気に入って頂けている事例が多いのもたぶんそのためでしょうね。


サイン本のお渡し会では、ちょっと立ち位置が違うだけで、10年来の十文字先生ファンだという「私」がたくさん来場されていました。
いろんな幸運が重なって、今の立ち位置でこの作品に関わらせて頂いていますが、
本当に、本当にみなさんと一緒にこの喜びを共有できて、嬉しかったです。


尊敬する作家さん、編集さんなどの諸先輩方の背中はまだまだ遠いような状況ではありますが、
1人でも多くの読者さんが楽しんで頂けるよう、今後も精進します。


今後のいろいろ

ちなみに、アニメに関する十文字先生のコメントがすでに公式サイトや各種媒体に掲載されていますが、
最新刊、6巻のあとがきは更にすごいです
ぜひ一読してみて頂ければと思います。


そして、これまでお待たせした分、グリムガルの7巻、8巻と以後は間をおかずに刊行すべく準備中ですので、
そちらもアニメやコミカライズと合わせて、楽しみにして頂ければと思います。
今後も個人Twitterなどでは可能な範囲で情報を告知していきますし、
各種公式のTwitterアカウントなどもよろしくお願いします。


シリーズ既読の方も、未読の方も、ぜひこの機会に「灰と幻想のグリムガル」という、
面白い物語に触れてみていただけたら幸いです。

余談

十文字青作品、古参ファンの皆さんへの心の叫び)
「野良猫マリィ」は私も読みたいから!
薔薇マリシリーズアニメ化も夢見てるから!!
でもいまはグリムガルをよろしくお願いします!


それではまた、何かの機会に。

元はてなダイアラーのライトノベル編集者、さんねんめに突入。

ご無沙汰しています、平和です。
……すみません。お前、つい先月にサイト更新してるじゃないかという話ですよね。はい。

前回はかなりのイレギュラーだったので、そう何回もはやらないと思います。たぶん……
そしてこっちは毎年恒例にしてもいいかな……ということでの1年振り返りです。


昨年がこれ
一昨年がこれ
あっというまにオーバーラップ文庫の創刊から2年。編集者としては3年目に突入します。
早い、早いです。日々がもうあっという間に過ぎていくという……
そりゃスパロボの新作も出ますよね。
(まだ開封すらできていません)


昨年4月〜今年3月で数えてみたら、担当作品は24作品……になったはず。
平均月2冊ですね。実際には3冊だったり1冊だったりして波がありますが。


出来事的には昨年4月に1周年記念イベントがあったり、
なぜか図書館でトークイベントに出たり、
新人賞の選考を紙とWEBの両方でやったりしていました。
いや本当に、あっという間に時間が経過するんですよ……


去年も触れた「灰と幻想のグリムガル」シリーズは巻数が伸びて現在5巻まで出ています。
先日にはコミカライズも告知され、この4月から月刊ガンガンJOKERさんにて連載開始です。
まさか自分が漫画のネームチェックをさせて頂く日が来るとは……という感じです。


あとはまあ、やはり「小説家になろう」を中心としたWEB小説の書籍化とかでしょうか。
ちょい変化球だった「大英雄が無職で何が悪い」というシリーズも担当してましたが、
今年に入ってから更に複数の作品を担当しています。
5月にはオーバーラップノベルスという、単行本も刊行するべく準備中です。
というか絶賛作業中です。くそう、大型連休め……


読書量は仕事込みだと変わっていないはずですが、
完全な趣味の方だと減ってしまうのは避けられませんでした……
というかですね、なろう作品を担当するといきなり100万文字オーバーの作品がぽこぽこ増えるのです。
厚めに見積もるとライトノベル10冊〜15冊分くらいになるシリーズを、
公私に渡って読みまくったので、活字からは離れていないはず。


いちおうなんとか続けてこれてはいますが、正直まだまだだと感じることも多々あります。
天職かと言われるとだいぶ首をひねる感じですが、引き続き頑張っていきたいかな、と。


あ、そうそう。
大したことでもないんですが、Twitterなどでやや控えめにしていた、他社さんの作品への言及などを少し増やしていこうかなあ、と考え中です。
単純に面白かった作品はそれを伝えたいという気持ちがありますし、
完結した作品についてはしっかりお礼を言いたいなあ、と。
出来る範囲で色々と、もっとラノベ読者が増えてくれるようにしていきたいですね。


それではまた、順調にいけば1年後とかに。
あるいはツイッターででも、よろしくお願いします。

余談

ゆかいなお役所ごはん (星海社COMICS)

ゆかいなお役所ごはん (星海社COMICS)

ゆかい食堂セレクション お肉編 (星海社COMICS)

ゆかい食堂セレクション お肉編 (星海社COMICS)

単・行・本!!
いやはや、めでたい。

「なろう小説」らしくない「なろう小説」、遂に書籍化した「リーングラードの学び舎より」を全力でオススメする

ご無沙汰しています。平和(あるいは編集K)です。
もともと4月頭には近況報告とかしようと思っていましたが、
少し前倒しての更新となりました。
サイト更新停止とはいったいなんだったのか……


ともあれ、今回の更新で取り上げるのは3月25日にオーバーラップ文庫から刊行される
「リーングラードの学び舎より」
についてです。


まあ、自分が担当編集なんですが、この作品に関しては一度しっかり紹介しておきたかったので。
なるべく一読者目線で書いていますが、宣伝ではあるので、
そういうのが嫌いな方はそっと閉じて頂ければと。

リーングラードの学び舎より 1 (オーバーラップ文庫)

リーングラードの学び舎より 1 (オーバーラップ文庫)

どんな作品?

小説家になろう」という小説投稿サイトに連載されていた作品です。
架空のファンタジー世界を舞台にした学園もの、教師ものです。
あまりチートっぽくはないですが、主人公は大活躍します(笑)

リーングラードの学び舎より
http://ncode.syosetu.com/n7826bd/


■WEB版あらすじ
リスリア王国で特殊なプロジェクトが動き出した。
貴族社会にあるまじきプロジェクトの名前は『義務教育推進計画案』。
計画の成功のために、いきなり教師をやらされるハメになったリスリア王国の賓客ヨシュアン・グラム。
この物語は彼を中心に巻き起こる生徒たちや教師、国すら巻きこんでの騒動をまとめたものである。


著者はいえこけい氏。連載中のシリーズはひとまず「リーングラード」のみ。
現在までに全332話、250万文字近くの分量で、教師ヨシュアンを中心とした物語が展開されています。


そして、「小説家になろう」とコラボし、2014年に発表された第1回オーバーラップ文庫WEB小説大賞の大賞受賞作でもあります。
受賞からほぼ1年を費やし、ようやくこの3月に1巻が刊行となりました。
(本当に、本当にお待たせいたしました……!)

どこが面白いの?

WEB版もある程度含めて語ってしまいますが、この作品の魅力は
「個性豊かで魅力的な大人たち&生徒たち」
「膨大な設定に支えられた、奥深い世界観」であると思います。


序盤のストーリーラインは乱暴に言うなら
「ファンタジー世界で型破りな教師もの」
とでも言えるもので、無理やり教師にされたヨシュアンが四苦八苦しながら、
貴族・商人・修道院・孤児・エルフなど、それぞれの事情を背負った
個性的な5人の問題児たちの手綱を握っていく話です。


ですが、それだけではありません。
生徒たちを教えることを通じて、過去に様々な体験をしてきたヨシュアンもまた、成長していく様子が描かれます。
生徒と教師が相互に影響を与えつつ成長する様子に、
自分は「こういう先生がいてほしかった!」と感じました。


1章時点でも登場人物が多いのですが、2章以降にも魅力的なキャラクターが多数登場します。
序盤から存在が仄めかされている人物達もいて、
あとで登場した時に色々と納得することも。
キャラ関連についてはアキバblogで公開されているインタビュー記事も参考になります。


またこの作品世界を構成する要素には、とても一筋縄ではいかない秘密がありそうなのです。
まだ明かされていない部分を想像で補っていく作業もまた、とても楽しいです。
特にヨシュアンの素性については……っと、推測含むのでこれは各自判断で。
「過去の内乱」や「この世界の神話」について、そして舞台となるリスリア王国の隣国も絡んでくるような、
スケールの大きい物語も楽しむことが出来ます。

WEB版と書籍版でどう違うの?

書籍の1巻は、WEB版でいう「第一章」に相当します。


WEB版は特に序盤が読みにくことに定評がありましたが、
地獄のような取捨選択の結果、それが1冊にまとまっています。
(まあそれでも普通のライトノベルではありえない厚さですが……)


先のリンクと、オーバーラップ文庫で公開している立ち読みページを比較しても面白いかもしれません。


実はこの作品、小説家になろうの作品群が覇を競う、ランキングなどではあまり評価されていませんでした。
評価基準となるポイントの数値は14,891ptです。
これは過去に書籍化した作品の中でも屈指の低さのはずです。


推測するに、面白くなってくる序盤以降になるまで辿り着けず、
読者が振り落とされていたのがWEB版だったのかな、と。


そんなハードルのある作品だったわけですが、序盤を再構成した1巻が出た今こそが、
この「リーングラードの学び舎より」という作品を堪能できる良い機会とも言えるはず。


書籍版を読んだ後、WEB版の2章に入ってもそこまで大きな違和感は出ないはずです。
細かいイベントは変わっている部分もありますね。
著者さんからはなにやら思わせぶりなコメントも……
できれば、WEB版と書籍版、両方を味わってみてほしいと思います。

以下私見

自分が初めてこの作品を読んだのがいつだったのか、微妙に記憶が曖昧ですが、
確か既に「隠れた名作」として評判になっていたはずです。


気づいたのは完全に後になってからですが、敷居さんの同人誌に収録されている座談会で、
橙乃ままれ先生がオススメ作品として挙げておられるのですよね……
当時はこれ読んだはずなのですが、完全にスルーしていました。


ここだけちょっと仕事モードも入りますが、
小説家になろう」の新人賞選考でいろいろな作品を読んでいると、
本当にいろんな作品がありました。


どうしても新人賞というのは賞ごとの基準で選考するものなので、
取りこぼすものは出てきます。
しかし、そんな中でも読者、そして選考者も唸るような作品があるのです。


ともすればランキングが重視されがちな「小説家になろう」の作品の中で、
上位でなくとも「本当に面白い作品」はある、と。
「リーングラードの学び舎より」という作品は、それを私に教えてくれた作品です。


もともと、幾つかの連載作品・書籍化作品を読んでおり、その奥深さの一端には触れていたのかもですが、
また違った形での新鮮さがありました。


書籍化という形で、より多くの読者の目に触れる機会を作れたことを光栄に思いますし、
やるからには少しでも多くの人に! との考えから、こういう記事を書いてみました。


少しでも気になったら、まずは1巻から、手にとって見てください。
いちライトノベル読み「平和」として、オススメです!

「ライトノベル編集への転職ご報告」から一年が経ちましたので生存報告など

(本当は6日に更新しようと思っててうっかりしていたのは秘密だ!)

はてなではご無沙汰しています。平和です。
前回の更新から早いもので1年が経過しました。いやホントに早いですね……
はてな記法の使い方をだいぶ忘れています(汗)


Twitterではポツポツ呟いていたりするものの、1回くらいはこっちでも生存報告しておこうかな、と。
と言ってもあんまり詳しいことは書けないので本当に生存報告くらいです。
報告通り、昨年4月〜現在までオーバーラップ文庫の編集者として活動して、
1年で19作品を担当しました。
(サブ担当的な役割だったものを入れるともう少し増えます)
たまに仕事上ご挨拶した方が「平和」名義のことを存じていることもあり、
なんとも言えない気恥ずかしさがあったりもします。
つい先日には担当した作品の初重版などもありまして、
なんとかかんとかやってこれたなぁ……という気分です。
とはいえ反省すべき点・勉強させてもらった点というのも数多く、
まだまだ頑張らねばですね。


前から心持ちとしてはあまり大きな変化はないようです。
1年経ってやめときゃ良かった……ということもなく、続けられているのは周囲のいろんな方々のお陰ですね。
仕事の方では応募原稿や企画・プロットなどいろんな形でライトノベルを読んでいますが、プライベートでも相変わらずです。
表立って書く機会はあんまりないですが、久しぶりの新刊に感動したり、
完結した作品に放心したりしています。
昨今の状況もあってWEB小説を読む時間も増えたので、時間がないのも変わらずですね。
やりたいけどパスしたゲームが結構あるのが悩ましいです……


しかし、空き時間に前から読んでいた好きなライトノベル作品でリフレッシュしつつ、
仕事としてラノベを作る、というのはマッチポンプ的でふしぎな感覚です。
ラノベ編集さんにはラノベ読むタイプと読まないタイプがいるっぽいのですが、
自分は前者にしかなれませんでした。そらそうだ。
これまでの経験は間違いなく役に立ったのですが、
「編集者になるにはどうしたらいいですか」系の
質問にはちゃんと答えられる気がしません。
あまりにも参考にならないので……


宣言してた通りこのラノやラノツイ、ラノベ好き書店員大賞など各所のランキング企画などは
ノータッチなのですが、いちユーザーとして楽しませてもらっています。
いろんな経路で作品に触れる機会ができるのはありがたいですし、
作品は著者さん・イラストレーターさんの尽力あってのものですが、
多少なりとも関わった人間として、作品を楽しんでもらえるのはとても幸せです。


ネット上のライトノベルに関する話題などもチェックはしているんですが、
あまりにも生産性のないやつは追わなくなってしまいました……
最近はラノベまとめ系サイトが転載をやめて方向性を模索しているのを見て、
意欲的にサイト更新していた頃を思い出すなどしていました。
変わらずお世話になっているサイトも多々あります。これからもお世話になると思います。


……うーん、あんまり内容を考えていなかったので書くことが思いつかないですね。
とりあえず、色々ありましたがまぁまぁ元気でやっています。
とりあえず1年目なので報告のためサイト更新しましたが、来年はわからないです。
基本的には更新停止のままということで。
頂いた応援なども忘れずに、温故知新を旨としつつ、引き続き頑張ります。
ではでは。

余談

そうそう。
古いサイト読者の人なら既にご存知かもですが、
昔からの友人、くらふと(id:craft_kim)がグルメ漫画で大ブレイク中です。
お仕事も募集中らしいですよ!
ギャラリークラフト
一緒に同人誌作っていた頃に、それぞれこうなるとは夢にも思いませんでした(笑)

サイト更新停止&ライトノベル編集への転職ご報告

IS〈インフィニット・ストラトス〉 1 (オーバーラップ文庫)IS〈インフィニット・ストラトス〉 2 (オーバーラップ文庫)IS〈インフィニット・ストラトス〉 8 DVD付特装版 (オーバーラップ文庫)
デスニードラウンド ラウンド1 (オーバーラップ文庫)16:00の召喚魔法 1 (オーバーラップ文庫)ロンリー・マイセルフ・サーガ 1 (オーバーラップ文庫)よろず屋退魔士の返済計画 1 100億の契約書 (オーバーラップ文庫)


突然……でもないですが、一度はっきりしておこう、ということで。
当サイト「平和の温故知新」は本日をもって更新を停止いたします。
そして合わせての……というか、ようやくの報告になるのですが、
4月25日に創刊するオーバーラップ文庫の編集者に転職しました。


実のところ、結構前から編集部に参加しておりまして、一部の方には既にお伝え済みだったりもしたのですが、
このサイトを運営してきた経験もあってこその現状ですし、こちらの方でも報告をしておきたい、と思った次第です。
特にネットでのみ繋がっている方には、ご報告が遅くなって申し訳ないです。


とりあえず今後の動向としては、サイト運営はお休み、ライター活動もまぁ休止かな、と。
下読み系のお仕事*1は転職してから遠慮させて頂いていますし、
このラノ関連とかも今後は基本関わらないことになると思います。
これまではこっそり(でもないか)関わってたライトノベル・フェスティバルというファンイベントもあるのですが、
こっちも基本的に「差し支えない範囲で物理的な作業などは手伝うかも」くらいになります。*2
Twitterアカウントはひとまず続けていく予定ですが、あくまで個人のアカウントとしての運用です。
OVL文庫の公式情報などは公式Twitterやブログなどで告知していくことになるかと。
ちなみに、このあたりの活動方針や今回告知については編集長とも相談済みであり、私の意向も最大限尊重して頂けたことを付記しておきます。
ややこしい経歴なのに大変貴重な機会を与えて頂き、本当に感謝しています。


そして肝心のお仕事内容のほうですが、ありがたいことに定期的に担当した作品を刊行する運びになりそうです。
当面は毎月1作、たまに2作くらいあると思います。4月の創刊ラインナップではこちらが担当です。

よろず屋退魔士の返済計画 1 100億の契約書 (オーバーラップ文庫)

よろず屋退魔士の返済計画 1 100億の契約書 (オーバーラップ文庫)

著者のsow先生、イラストレーターの蔓木鋼音先生が本当に素晴らしい仕事をしてくれていて、
先日ほぼ全ての作業を終えましたし、無事に刊行される見込みです。
どうしてもひいき目にはなるんですが、割と面白いと思います。
……類似タイトルを挙げると「GS美神」と「ハヤテのごとく!」になるあたりに
若干の対象年齢的な不安もあるのですが(汗)
ともあれ、ぜひお買い上げ頂けるとありがたいです。
よろしくお願いいたします。


幸いなことに、いまのところ編集者としての仕事は超楽しいです。
「好きなものを仕事にしてしまう難しさ」とは、ライター活動時から付き合ってきたわけですが、
どうやら、大丈夫なのかな、と感じています。少なくとも今のところは。
これならもっと早く転職を決意してれば……なんてことはなく
なるべくして今このタイミングになったのかな、と思います。
ラノベ読み始めて約20年、サイトを開設して8年半くらい、ライター活動は約3年ほど。
これらの諸々があってこそ今がある、というのはややクサい物言いではありますが、正直な気持ちでもあります。


これまでの経験がどれだけ役立つかも怪しい所ではありますが、
少なくとも全くの無駄ではなかったかな、と現時点では思えています。
やるからには少しでも、これまで数々の作品から受け取ったものを返せるように頑張ります。
サイトの更新を楽しみにしてくれた方がまだいたとしたら本当に申し訳ないのですが、
今後も「ライトノベルが好き」という気持ちには変わりないですので、何らかの形でご縁があればと思います。
長いようであっというまの期間でしたが、本当にありがとうございました。

*1:実はやってました

*2:直近では4/29にLNFminiが開催されます。概要と申し込みはこちら